森野旧薬園。

大宇陀町の森野旧薬園(http://www.morino-kuzu.com/)に行ってきた。
小石川植物園とならぶ日本最古の薬草園。約250種類の薬草が植えられているそうだ。
薬草の宝庫。だけど初心者にはちょっと厳しかった。どこに何が植わっているかを図示したプリントをもらったけど、これが現場とちょっと違う。それはまだしも、「ここにこういう植物があります」と説明してくれるプレートや札。これがあってもその草がない。あるいは他の草が生えている。そういうのが多くて、頭が混乱した。ガイドがいないと苦しい。
「わからないのは簡単にでもスケッチしよう」って考えていたけど、薮蚊が多くて、ちょっとそれどころじゃなかった。半袖で行ったのも、虫除けスプレーを持っていかなかったのも失敗。
ということで、たぶんこれじゃないかなという不確かさを多量に含んだメモ。用法は主にいただいたパンフレットから。

アカネ
アカネ科アカネ属。根を止血に。(参考:イー薬草・ドット・コム:アカネ)。薬になるとは知らんかったな。
アオキ
ミズキ科アオキ属。常緑の低木。葉を健胃薬に。※現地でのメモには「陀羅尼助」と書いてあるけど、陀羅尼助の材料はオウバク、ガジュツ、ゲンノショウコらしい。(胃腸薬「だらにすけ」)。私の取り違えかも。
ヒガンバナ
(花)。鱗茎を血圧・体温降下・去痰に。(毒というイメージがあったので、ちょっと驚いた。まあ、たいていの毒は薬になるから、それでいいのか)。
ヤブラン
(花)。ユリ科ヤブラン属。根塊が(大葉?)麦門冬。喘息、咳に。ジャノヒゲがほんとうの麦門冬なのかも。(参考:イー薬草・ドット・コム:ヤブラン植物雑学事典:ヤブラン)。
アメリカキササゲ
(実)。ノウゼンカヅラ科キササゲ属の落葉高木。種子に利尿作用。
セリバオウレン
キンポウゲ科オウレン属。葉は2回3出複葉でセリの葉に似る。(初心者の悲しさ。じゃあ、セリと並べてどっちがどっちと訊かれたら、応えられないだろう)。根茎(黄連)を健胃・整腸に。性は寒。(参考:植物雑学事典:セリバオウレンイー薬草・ドット・コム:オウレン)。

と、ここらあたりまでは入口付近なので、まだ確か。まだまだ続くから、また別エントリーで。
資料館も見学。薬草園を開いた森野通貞の「松山本草」が展示されている。精細で色あざやかな動植物の図鑑。これは感動もん。唐辛子にトガラシ(ウ抜け)と書いてあるのを見て、「ああ、昔からここらへんではトガラシが正解なんや」と嬉しくなった。奈良県南部の山奥から出てきた人もそう発音するし。
道貞の次の代の武貞の筆だったか、家訓が達筆で残されている。字も見事だが(あまりに達筆で私は読めなかったが)、その内容もおもしろかった。
「子どもの頃から農業に従事させろ。そうすると体が丈夫になる。体がひ弱だと損が多い。体が弱いと、心にも勇気が備わらない」と。いや、ほんまやねえ。
「商売から早めに引退して、薬草の栽培・採集・研究に打ち込むのがいい」って、それは理想やねぇ。
牧野富太郎先生の揮毫もあって、力強くて勢いのある字を書きはるんや。やっぱり読めなかったけど。
資料館2階には葛に関連する資料が置いてあって、これもおもしろかった。葛を紹介して、「山の暴力団的存在」とあるのに笑ってしまう。いや、ほんまにめちゃくちゃ増えよるし、ほかの植物が生えなくなるもんな。
しかし葛についていちばん知りたかった、「原料となる葛の根はどこで誰が採っているのか」がわからなかった。今後の宿題。