『私の身体は頭がいい』

内田樹私の身体は頭がいい 非中枢的身体論』新曜社、2003年5月、ISBN:4788508478
なかなかおもしろい。このおもしろさはどこかで感じたことがあるなあと思ったら、上杉清文氏だった。
共通しているのは、無意識の天才ということ。表層的にはめちゃくちゃなことを言っているようでも、深層がちゃんとつながっているから大丈夫なのだ。
大学教授を務めていられる内田氏のほうが表層的には頭が良いのかもしれないが、そのぶんおもしろさの迫力は落ちる。上杉vs平岡対談なんか、「目から鱗が落ちるどころか、頭から頭蓋骨が外れる」ようなおもしろさだった。それに比べると、学術論文的に書かれている章なんか、退屈と言ってもいいくらいだ。横読みするところ(縦書きだから)も見つからなかった。(こっちが見つけられなかっただけかもしれない)。学者さん向きに書いたら、これぐらい的を絞って、狭い範囲をわかりやすく丁寧に書かないといけないんだろうな。内田氏がもっと思いのままに書いた本を読んでみたいけど、そういうのは本にはならないのかなあ。
ただし私は武術をやっていないから、武術に関する話は、ほんとうのところよくわからない。