セレッソ@名古屋(ビデオ観戦)

J1 25節 セレッソ 3-1 名古屋
セレッソ、なんだかずいぶん自信をつけてきたみたい。見ている側としてはまだ半信半疑だけど。
攻守両面での落ち着きぶりとチェンジ・オブ・ペースになんだかブラジル風の印象。セレッソのこんな雰囲気は初めて。本物のブラジル人が3人いる上に、日本人でもスキルフルな選手が前のほうに多いから、ブラジルを感じても不思議じゃないかもしれない。でも過去のセレッソには、ブラジル人が3人いたときでもそんなふうに感じなかった。なんでブラジル風なんて感じたのかなぁ。
ブラジルらしくない点を挙げようと思えば、とうぜんいくつも挙げられる。「そこはボールを回しておけば楽なのに」って思うような場面で、簡単に蹴ってボールを渡してしまうほど、ポゼッションを放棄している。ミスも多い。相手の攻撃を見切ったつもりで、決定的なピンチになっていることもある。違うといえば、ぜんぜん違う。
あえてブラジルっぽいところを考えてみるなら、ラインが深くてスペースが広いこと。だからとうぜん相手の攻撃を受けて立つこと。そして守備は組織より個人で守る傾向が強いこと。そんなところか。
ラインが深くて、1対1で守るのは小林さんが監督になってから変わってない。カウンター・サッカーだから、相手の攻撃はもろに受ける。それも変わってない。変わったところと言えば、例えば1対1で守るのでも、かつては1発でガツンと跳ね返そうとしていたのが、1発目で動きを止めて、2発めでボールを奪う、そういう守りかたもできるようになってきた点か。ガツンと行こうとして、ファウルになったり、するっとかわされたり、そういう不安定さがなくなって、相手をからめとるような守備ができるようになってきた。前田や下村が成長しているのは、ブルーノやファビーニョをお手本に、そういうことを覚えているからだろう。
ブルーノ、ファビーニョ、西澤とセンターラインにスキルフルな選手が揃い、まわりもレベルアップして、計算できる選手が増えた。それが、自陣深くまで攻め入られても慌てず落ち着いて対処できるようになった理由だろう。攻められていてもなんだかのんびり見ていられるようになった(のんびり見ていると失点していたりするけど)。そしてそれが私にブラジルの匂いを感じさせたのかもしれない。攻守両面でのポジション交換も滑らかになり、チームの熟成は確実に進んでいる。
弱点もまだまだあるけど。例えば、まともなブラジル人選手は、ポケッと立っているようでも、どんな方向にでもすぐに動き出せる立ちかたをしている。ところが日本人でそれができる選手はほとんどいない。だからうっかりブラジル人の真似をしているつもりで日本人が突っ立っていると、動き出しが遅れる。あるいはテクのない選手が、勘違いして相手をおちょくったプレイをしようとすると失敗する。そこらへんは自分をわきまえないと墓穴を掘る。
システム的には、3枚のCBの両外がやはり守備の弱点。今日の名古屋も前半そこを攻めていた。その攻撃から得点できなかったのは、名古屋がノートップと言える状態で、サイドからすばやくボールを中に入れられなかったから。真ん中にヘディングの強いフォワードがいたら結果は違っていただろう。後半最後あたりは、右CBの外側のスペースへのスルーパスから決定的なチャンスを何度も作っていた。これも名古屋に点取り屋さんが1人いたらというところ。
攻撃面では、西澤にボールが入らないと組み立てができないのも弱点。一時のような、「とりあえず前に蹴っとけー」ってことは減ったけど、西澤を経由しないとどうしても攻撃が単発になる。今後の対戦相手は、イエロー1枚ぐらい覚悟の上で、西澤の背後から厳しく当たってくるかもしれない。そのときにどれだけ周りが動いて、西澤をオトリにするような攻撃ができるか。
その西澤を含めて、代えの効かない選手も多い。この試合で徳重は森島の代役を無難に務めたけど、苔口と酒本はいまだに途中交代の候補としてドングリの背比べ。それ以外の選手はさらに落ちる。出場停止やケガ・故障でレギュラーの誰かが出られなくなったときにどうなるか。
ということで、浮かれた気分にはなれないけど、残り試合をワクワクしながら観ることはできそう。楽しみになってきた。