『カウンセリングとは何か』

平木典子『カウンセリングとは何か』朝日選書586、1997年10月25日、ISBN:4022596864

勉強になった。
ずっと前から、カウンセリングに興味は持っていた。
施術者になるための教育の中で、教科書的な知識はとうぜん教えられてはいたが、実際に役立ちそうなことは学べなかった。
自分で勉強しようにも、特定の理論・技法についてしか知りえず、そのどれにも完全には納得できなかった。

著書は、ウィリアムソンとロジャーとの論争が始まった1960年代のアメリカでカウンセリングを学び、帰国後 学生のカウンセリングに従事。
実践の中で<精神分析><ゲシュタルト療法><家族療法>などの理論・技法を学び、身に付けた。
そういう背景を持つ著者だから、カウンセリングの概要について、各理論・技法の違いを越えた解説書を書くことができたのだろう。
「心の援助に関する一定の筋道と、カウンセラーの行う普遍的な作業の部分」がよく理解できた。

そして、日々の施術の中で、具体的な体の調整以外の部分で、私がやろうとしていたこと、いやちょっと違うな、何をどうすればいいのか分からなくてもがいていたこと、それがまさにカウンセリングの領域だったことも、今さらながらやっと分かった。
ひとりで手探りでやっていたことに、偉大な先達たちがいたことを知った。
こういう本に出会うと、いつものことながら、なぜもっと早く読まなかったのだろうと、自分の勉強不足を痛感する。