三好春樹『元気がでる介護術』

三好春樹『元気がでる介護術』(岩波アクティブ新書。ISBN:4007000107)。
まったく同感。賛成。以上。
だけではしょうがないので、生活とリハビリ研究所のサイト。
http://www.mdn.ne.jp/~rihaken/

ついでに末節の部分で、自分に引き付けて感じたこと。
同書4章の結論。「介護はあきらめから始まる」。
完全な状態に戻すことを諦めて、不完全な今の状態を受け容れる。
今の状態でよく生きることを考える。
介護はこれが大事だけど、治療を仕事としている人間は(含む自分)、どうもこれが苦手だな。
治療者としては治すことも大事だし、治せる技術を磨くことも大事だけど、限界を受け容れることを忘れちゃいけない。

私が治療の仕事を始めたばかりの頃は、1つ治せないと何にもできないような気持ちになってしまいがちだった。
ほんとうは、1つできないからって、他のことも全部できないなんてことはないんだけど、経験が浅い内は、自分に何ができて何ができないかが分からないから、どうしても治療者としての価値がまったくなくなったように感じてしまう。
だから治すのを諦めるのが嫌で、患者さんに余計な負担を掛けてしまったこともあった。

介護を必要とする人に限らず、みんな健康になるために生きている訳じゃなくて、よく生きるために健康が必要なんだ。
とりあえず患者さんとして私の目の前にいる人だって、治るために生きているんじゃなくて、よく生きるために治ることを必要としているだけなので。
例えば80%治って、あと20%治るのに今までの4倍のコスト(時間とかエネルギーとかお金とか)がかかるとしたら、100%治そうとするより、その時間やエネルギーやお金を別のことに向けた方が、その人にとってはプラスだろう。
悪いところばかりに目が行って、その人の生活全体を見失ってはいけない。
当たり前のバランス感覚を失いたくない。