セレッソvs新潟(生観戦)。

ラ・レアルことソシエダを率いて4シーズン目。開幕時こそ2試合続けて引き分けたものの、その後は順調に勝ち星を伸ばし、ウインター・ブレイクを首位で迎えたshryk監督が(ウイイレ タクティクスの話ね)、Jリーグを見てまいりました。
感想:一番絞り。やっぱりなかなかおいしいやん。
ごめんなさい。今日はちゃんと観てません。じつに内容に乏しい試合でしたので。いやもうね、時計が進むのが遅い遅い。「あと15分くらいかな」と思って見ると、まだ15分しか経ってないって、ずーっとそんな調子。体感では4時間はいたように気がしました。でも選手は責められません。この時期に週2回ペースで試合をやっていて、しかも今日はまたとんでもなく蒸し暑いんですから、走れないのが当たり前。誰が悪いかっていうと、そりゃ、こんなスケジュールを組んだヤツに決まってます。(陸上競技のために、秒速2メートルを越える風がピッチレベルで吹かないように設計されたらしい長居スタジアムのことは、ええっと、私は陸上を観るのも好きなので、悪く言えません)。もうええ加減北半球のサッカー・カレンダーにしましょうよ、って話は長くなるのでまたにしますが。まあこうなることがわかっていて行った私もアホです。しかしある意味貴重な経験をさせてもらったのかもしれません。ふだんどうしても貧乏性というか、「忙しい、忙しい」って言いながら慌しく毎日を過ごしがちなので、別世界のようにゆっくり流れる時間に身を置けたってのは。
新潟は4-1-4-1。前の1(位置的には後ろから2列目)はディフェンシブ・ミッドフィルダー(DMF)の桑原。後ろの4(位置的には前から2列目)は、センターに山口と寺川の2人と、アウトサイドに右 海本幸治郎、左 鈴木慎吾の2人。早い話がバルサっぽいシステム。例えるなら山口がシャビで寺川がデコ。だいぶスケールは落ちるけど。海本がジュリで鈴木慎吾ロナウジーニョってのは違和感ありすぎだけど、左右逆ならまだなんとか収まるか。(ただし喜多は間違ってもファン・ブロンクホルストではない)。陣形はわりとコンパクトだけど、ラインはそれほど高くもなく、極端に攻撃的でもない。ただしラインの高さと攻撃性については、選手の質とコンディションから、不本意ながらそうなってしまったのかもしれない。内容よりまず結果を求めるチームが多いJの中で、このシステムを採用していること自体、志が高い。11人全員の動きを楽しめるサッカーをひさしぶりに見させてもらった。
対するセレッソは3-4-1-2。前々節の千葉戦で2トップ&トップ下というシステムが機能したと判断したのか、黒部・西澤の2トップとトップ下に森島。右のアウトサイドは再び久藤。ポジショニングと連携で守るタイプで、苔口に比べると守備面のリスクが少ない。
「3バックを攻めるには両サイド」は、ここにもなんべんも書いているけど、もう定石のはず。サイドに前後2人ずつ、攻撃的な選手を前に、守備が主の選手を後ろに置くシステム(4-2-3-1も4-1-4-1もこれ)なら、より効果的にそれができる。ところが前半の新潟はあまりサイドを突いていなかった。両サイドの攻撃的な選手が走れなかったのか、それとも山口のキック力ではそこまで配球できないのか。(実は私は山口がけっこう好き。頭が良くて、やろうとすることはいいんだけど、体とテクニックがついてこない。「気持ちはわかるんだけど、できないんだよなあ」ってもどかしさが好きだったりして)。
前半28分、セレッソの左CB柳本が交代。布部がDMFの位置に入って、ボランチの1人下村がCBに下がる。(この交代はたぶん戦術的なものではなく、柳本の負傷)。この時からセレッソははっきり5バックになった。ただ新潟も、両サイド深く押し込んではみても、下がられてスペースがなくなると、ゴールへの道をこじ開けられる技がない様子。攻めきれずボールを失い、セレッソのカウンターを喰らう場面がたびたび見られる。いっぽうセレッソのほうは完全にカウンター狙い。ボールを奪っても、バランスを崩してまで攻めあがる選手は現れない。3-4-1-2での定石(の1つ)どおり、前の3人(今日は実質的に2人だったけど)+ボランチファビーニョ/左WBのゼ・カルロスで、「点取ってきてね」という攻撃。新潟のように、CBが2枚でしかも日本人という守備を崩すには、アーリー・クロスも定石とまではいかないでも試してみる価値のある方法だと思うけど、それはなかった。
と、ちゃんと見ていたのはここまで。あとは、「一番絞りがほんとうにおいしくなったのか」を検証するのに忙しくて、試合を観ていません。知らない間にセレッソが勝っていたようですが。ま、11人の選手の実力を全部足して比べたら、セレッソが新潟に勝っているとは思います。試合の間隔が短いと、対戦相手に対する調査や対策も取りにくくなり、それだけ地力勝負になる傾向もあります。で、結果はそのとおりだったと。それだけですね。暑い中ご苦労さんでした、みなさん。
さて、ここからは完全に個人的な好みになります。ウイイレ・タクティクスをやってて改めてわかったんですけど、私は攻撃的なサッカーが好きです。そりゃ私だって負けるのは嫌い、いや大嫌いです。でも試合に負けたからって命まで取られるわけじゃなし。しょせんサッカーじゃありませんか。勝ち負けよりもっと大事なものがあるんじゃありませんか。楽して勝って、何が楽しいもんですか。公務員が5時になるのを待ってるみたいなサッカーなんか、誰が観たいもんですか。
新潟は、選手個々のレベルでは正直J1でも低いほうだと思います。よそでいらないって言われた選手がほとんどで、よそから欲しいって言われそうな選手は鈴木慎吾くらいしかいないかもしれません。今シーズンの目標だって、1部残留かもしれません。4-1-4-1というシステムに取り組むのだって、あるいはプロ生活が長くなって、悪い意味で擦れてしまった選手たちに新たなモチベーションを持たせるためかもしれませんし、降格さえしなければ監督の解任もないという条件に許されているから(ほんとのところは知りませんが)できる実験かもしれません。でも新潟のサポーターは幸せです。もっといいサッカーをしよう、もっとうまくなろうという意思がチームにあります。バカみたいに見えたって、「いいサッカーをしたほうが勝つべきだ」って信じて、理想を追い求めていく姿には魅力があります。
セレッソは、昨シーズンから考えたら、チーム力も成績も上出来でしょう。でもここで満足したら、上はありません。そしてそうなれば、今までと同じく、いつまでたっても集客力も上がらないでしょう。大阪にはサッカーが好きな人も、自分でプレイする人もたくさんいます。そういう人はいまほとんどセレッソの試合を観に来ていません。その理由を考えてみる価値はあると思います。