浦和vsセレッソ(ビデオ観戦)

J1第7節 浦和 1-2 セレッソJ's GOAL
さいしょにJ SPORTS。中継してくれるのはありがたいけど、番組作りがあまりにもヘタ。観ていてイライラした。まずカメラワーク。個人のアップ多すぎで、しかももうボールが動きはじめているのに、まだ切り替わらない。サッカー中継の基本は<引き>でしょ。アップいらない。次がアナウンサー。妙な意味付けが多すぎ。解説なんかしなくていいから、まず実況をちゃんとしてほしい。いらんところでドラマを作ろうとする民放地上波の変な番組作りを真似しないでほしい。J SPORTSにはちゃんとしたサッカー中継をやってほしい。(って、制作がちがってたのかな)。
ということで、ほとんど早回しで観てしまった。感想。浦和はそうとう状態が悪い。去年のアレはなんだったのってぐらい。セレッソだからって舐めてたのかな。舐めてたんなら、そんなメンタリティでは優勝なんかできっこないし、そうじゃなくてこれが今の実力だとしたら、それもやっぱりまずい。
試合はセレッソが守って浦和が攻めるという基調。いまのセレッソ、カウンターはそれほど怖くない。大久保という飛び道具もいなくなったし、一蹴りでゴールに結びつくパスを出せる選手もピッチ上にいない。西澤への楔のボールさえ気をつけていれば、押し込みっぱなしにすることは可能。なのに、浦和の選手は動かない。個人が孤立している。パスが出てこないから、周りが動かない。周りが動かないから、ますます個人がボールをこねる。チーム状態が悪いときの典型的な悪循環。
どんなチームでも、こういう試合をしてしまうことは1シーズンのうちに必ずある。こうなってみると、昨シーズンは個人の能力でこういう試合をしのいでいたことがわかる。いまは、まるで精気のないエメルソンを筆頭に、昨季は頼れた個人に頼れなくなっている。(しかし永井がプレースキックを蹴るって、そんなに人おらんのかいな)。こんなときこそチームとしての本物の力が問われる。でも、そんなに悲観することもない。だって、内容は最低でも、総合的に守備力を比較すれば確実にセレッソを上回っていたし、負けたといっても最少得点差なんだから。これが底だと思って、この試合を今シーズン最低の試合だったと、あれが転機だったとあとから思えるように建て直すしかない。
セレッソのほうも全体としては良くはなかった。小林監督の戦前のコメント、「守ってばかりいられない。点を取らないといけない。うち合いになるでしょう」(スポニチ)ってのは、「三味線がちょっと上手になりましたね」ってぐらい。引いて守ってはいるけど、<がっちり>と形容するにはほど遠い守備。カウンターの形も見えない。
改めて感じたのは、小林監督って、いろんな意味で<後ろ>が気になる人なんだろうなと。空間的には背後のスペース。彼の中では、相手ゴールに向かうベクトルより、自ゴールに向かうベクトルのほうが大きい気がする。だからどうしても守備重視になるのではないかと。「後ろをしっかり守ろう」という意識が強くなるほどどんどん押し込まれて、押されっぱなしになってしまうんだけど。(逆が「攻撃は最大の防御」)。
時間的には未来より過去。選手交代でも現状維持が基本。「このままのメンバーでなんとかしてくれないかな」って考えが空中に読めるぐらい。代えて裏目に出るより、代えずに失敗するほうが、目立ちにくいのはわかる。でもそれで納得できるのは彼の心の中だけの話。そんなに控えの選手を信用できないのかな。選手を信用できないとしたら、それは監督自身の責任でもあるんだけど。つまり選手の持ち味を把握していないという意味で。そんなにどうしようもなく使えない選手ばかりじゃないですよ、今のセレッソのベンチ・メンバーは。
セレッソのよかったところは西澤の2得点。特に1点目はきれいだった。でもこれは浦和の守備のミス。「今季最低の出来」(デイリースポーツ)なんて、「ほんとは嬉しいくせに、照れ屋さんなんだから、もう」って思ってたけど、ビデオで観たら納得いった。確かに他の場面ではきっちりマークされていて、ほとんど仕事をさせてもらってなかった。「ゴール前でフリーにしてもらったら、あれぐらいのことはしますよ」ってプライドは彼にあるだろうし、それだけの実力もある。だから納得。
あと、久藤はベテランの味をちょっと出していたかなと。守備ではよく頑張っていたのではないかな。攻撃は、何事も起こらなそうでじっさいに後ろに下げるだけのボール・キープとか、ものすごくスピードが遅いのに中に合わないクロスとか、いつもどおり。
ゼ・カルロスは、生で見たときにも感じたけど、かなりの肉体派というか、本能のままにプレイするタイプらしい。あまり難しいことは覚えられそうにないから、変に知恵をつけさせるより、好きなようにさせたほうがおもしろそう。ドリブルなんかは、ダンプカーに大排気量のエンジンを積んで無理やり動かしているような感じがあったけど、意外と瞬発力はあるようで、あの野人・岡野にかけっこで勝つ場面もあった。
あとセレッソは3-4-3じゃなくて、完全に3-6-1だった。この違いは、2人がFWかMFかだけど、明らかにMF。守備の負担が大きすぎ。森島はともかく、古橋まで自陣深くまで帰って守備をしないといけないのはどんなもんだろう。それを前提に、そうしないと守備が破綻するのであれば、チームとしての守り方に問題あり。
まとめ:浦和はこの試合を転機にすると吉。いま自分たちにできることとできないことをはっきりさせて、できることは完全にやり通し、できないことはできるようになるために努力してね。セレッソはこの勝ちに浮かれていてはダメ。そんなに力が上がったわけではないので。