『FREE CULTURE』

ローレンス・レッシグFREE CULTUREフリー・カルチャー)』翔泳社、2004年7月22日、ISBN:4798106801

フリー・カルチャー(自由な文化)は、過去の知的創造物を土台にしながら、過去の創造者の権利を制限することによって、創造性やイノベーションを刺激する。
既得権の保護の強化ではなく、その制限によって、新しい技術を育て、その成果を享受する。それがアメリカの伝統だった。
知的財産権の際限のない強化によって、この伝統がいま息の根を止められようとしている。
レッシグ教授のこんどの本は、おもに法の領域で、過去に起きてきたことといま起こりつつあることをわかりやすく解説し、「ではどうすればいいのか」という代替案を提出する。
ぶあつい本を読み通すのはちょっとめんどうかもしれないが、少し根気よく話についていけば、けっしてわかりにくいことはない。
面白いエピソードもたくさんある。
(日本語訳の単純な同音異字の間違いにも目をつぶることにしよう)。

知的財産権の強化。その保護の強化。
それによってなにが得られ、なにが失われ、そのためにコストがどれくらいかかるのか。
これらを素直に見れば、今の状況がどれほどバカバカしいものになっているかはすぐにわかる。
過激な主張だとは思わない。きわめて穏当なバランスの取れた見方だと思う。
ふつうに常識的に考えても、あまりにもバカげていると言わざるをえない状況に、アメリカは陥りつつある。
法律(憲法著作権法など)や政治制度が違うとは言え、日本も同じような状況にいるのは間違いない。
例えばJASRACはどうか。
CCCDは?
著作権法改正は?(文化庁「著作権法改正要望事項に対する意見募集について」