大学を卒業してからずっと働きすぎている友人が、こんなことを漏らしたことがある。
「電車に飛び込む人の気持ちが分かる」。
「ホームを歩いていて、フーッと吸い込まれるような感じに、たまになる」。
「ここで電車に向かって飛んだら、楽になるだろうなぁって」。

そいつはバカみたいに、いやバカそのものと言っていいくくらい、根っから楽天的なヤツ。
なのに、こんな風に考えることがあるなんて、びっくりして信じられなかった。
まだ若く、家のローンもなく、事業の借金もなく、病気もない。
だから助かっているのかもしれない。
会社にしがみつく人間ではないけれど、いま会社を辞めたら次がないから、自分をだましだまし働き続けているんだろう。

でも。
そんなに働いて、いったい何が待っているんだろう。
社員が安い賃金で長時間働いてくれれば、会社が儲かるのは当たり前。
自分には何が残る?
体を壊したら、はい、さようなら。
死んでしまったら何もないよ。
家族はどうすればいい?
残された家族の面倒を会社が見てくれるわけもないのに。

だから、会社なんかのために死んじゃいけない。
タダ働きをするな。
会社から自分を守れ。
生きろ。