鼻スリスリはしたことがない。
『猫のミヌース』を観た。
http://www.nekonominoes.com/
映画館に行ったのも久し振り。
「好い映画のにおいがします」って勧めてくれた"Cafe + Musica"のF田さん、ありがとう。ほんとに好い映画でした。
猫を愛している人なら絶対幸せになれる。
猫がたくさん出てくる。猫が喋る。それだけじゃない。
猫好きの人間が猫に見出すもの。
しぐさ、表情、感情、行動などなどを映画のいたるところで見付けられる。
「そーそー、あんなことするよー」って。
猫バカの重症度が重い人ほど楽しめる。
もちろんストーリーも猫好きを失望させるようなことはない。
猫好きの方はぜひ同病の人といっしょに観て、感想をじっくり話し合ってほしい。
(この映画に込められたメッセージについては、Kitty's Pawで上手くきれいにまとめられているので、そちらを読んで下さると良いかと)。
主なキャスト(の2人だけ)
- ティベ(テオ・マーセン)
顔はちょっとフランケン入ってるんだけど、新聞記者のくせに人に話しかけられない、内気で心優しい青年。
いつも部屋が散らかっていて、ベッドの横にたくさんの本が並べて積んでしてあるところに私は親近感。 - ミヌース(カリス・ファン・ハウテン)
<半分猫半分人間>を好演。さすがに瞳の形までは変えられないけど、機敏な動きやくるくる変わる表情で猫らしさをうまく表現していた。
ミヌース=人間はシャム系かな。
目の色、毛色はシャムと違うけど、最上部が高くて、額から真っ直ぐ続く鼻。細身の体。
動きがすばやくて活発。おしゃべり。人間好き。(シャムは、猫にしては犬っぽいとされる)。
心に残ったシーン(順不同。セリフはうろ覚え)
ティベ:(外へ出ることをしぶるミヌースに)「昼間も外に出なきゃ。(中略)魚を買ったり」
ミヌース:(サカナ?いま魚って言った?キラリーン)「行く行く!」
ティベ:「(レセプションに)行かなきゃ。(中略)魚屋も来るよ」
ミヌース:(サカナ?いま魚屋さんって言った?キラリーン)「行く行く!」
- ミヌースがビビに謝ろうとして、ビビの部屋の窓からコンコン。(やっぱり窓からかいっ)。窓を叩く手がネコ!
- ティベの住んでるアパートの内装(除くティベの部屋)。
白をベースに青のアクセント。とってもきれい。このセンスは、地中海方面よりも北欧寄り? - ハリーが首に巻いてるスカーフや店の装飾が見事にトリコロールづくし。
(ちなみにオランダ国旗はフランス国旗と縦横違い)。(参考:外務省「キッズ外務省」って、このフランス国旗間違ってるやん)。
これにオレンジ色があったら、オランダ・サポーターそのもの。私は98年マルセイユで初遭遇。でかくて陽気でパワフルな人たちだったなぁ。
ここはちょっと……。
- ミヌース=猫の方は短毛ペルシャっぽかった。
- ワン・シーンだけ、ミヌース=人間のものの食べ方が違う時があった。
「そりゃネズミかリスだろう」って。 - 鼻をスリスリするシーンがあったけど、ああいうの、私はしたことがない。
<鼻でご挨拶>や<ゴチン&スリスリ>はしたことがあるけど。
不思議
- ミヌースの身に付けるものが全部緑色。(ティベにもらった手袋だけが薄い青色)。
なぜだろう?
「猫は緑色が好き」説でもあるのか。
舞台
- 現代オランダの小さな町。町中みんなが顔見知り。もちろん猫もその一部。
- 歴史のある町らしい。(石畳の広場が町の中心にあるから)。
- 自転車が多い。(記者としてブレイクするまで、そして一時的に新聞社をクビになった時のティベが移動手段としているのも自転車。低地でかつほとんど平坦な国土を持つオランダでは、自転車を<エコ>な移動手段として推奨している。風も強いけど、そこは筋力で乗り切るのだろう。自転車道が国内至るところ整備されているらしい。台数だけは多いけど、自転車のための環境整備にはどんどん逆行している日本から見るとうらやましい)。
- 現代的な香料工場が経済成長の唯一の源か。ただしこの会社の製品、「人間にもペットにも無害」と謳っていながら、ドラム缶からこぼれたのを舐めたミヌースが人間になってしまったところを見ると、必ずしも謳い文句どおりのものではないらしい。
名語録
- モールチェ叔母さま(優雅で上品でプライドが高い。人間嫌い)。
「千匹の小鳥をもらっても人間になるなんてイヤ」
すみません、人間で。 - ヤッケプース(自由を愛するノラ)。
「注射されるくらいなら死んだ方がまし」
そうですよね。ごめんなさい。(オランダでは飼い猫になると、まず間違いなく伝染病の予防接種をされるとか)。
余談
- オランダらしい映画かなと。
自由と独立を重んじ、動物を愛し、<エコ>を大切にする今のオランダの良いところが生んだ最良の映画の1つではないかと思った。 - ちょうど読んだばかりの『ちょっと怖くて不思議な猫の話』(北嶋廣敏 太陽企画出版 ISBN:4884663551)でも、人間同士が話すみたいに、猫と人間が会話をする話がいくつも出てきたので、猫が人間と話をするのは当然のように受け止めた。
でも、江戸時代なら「これは猫が憑いた」で打ち殺されておしまい。
現代オランダの話でよかったね。 - 思い出したのは池野めだかの猫の真似。
最近見てないけど、あれもよく似ていた。
ちなみに彼を生で見たことのある人によると、めだかさんも猫顔だそうな。 - で、猫嫌いの人は決して観ないでください。(観ないって)。